23. 台風去ってもユーウツは去らず

台風明け出勤の“お作法”とは

昨夜から今朝にかけて、強い勢力の台風10号が九州地方に最接近しました。
台風だけはコロナをものともせず、今年も日本へGo Toするつもりらしい……むしろこれからがシーズン本番なので、あと2ヵ月ばかりは覚悟して用心しないといけませんね。

都会の勤め人にとって、台風や大雪などの気象災害と出勤ストレスは、大きな労働問題です。
だって首都圏での台風明けなんてのは、公共交通機関がほぼストップすんのよ。動いてても徐行運転でノロノロだし、やっと来た電車は超満員で乗れやしない。次の電車も、その次も。延々並んで見送って、ホームは人で溢れて落っこちそうになってさ。ヘトヘトでようやっとオフィスに到着したらもう昼過ぎ。気がつきゃランチを食べそびれてたというオマケまで付いてたりするんだから。……

この問題は一つに、大勢の勤め人が、同時に同じマインドで同じ行動をとることにあります。
朝は“少し早めに”家を出て、駅に行ったらやっぱり電車は遅れてる。乗れたはいいけど、1ミリも動かない車内ですし詰め状態……これでオフィスまで我慢してるんですよね、みんな。これを拷問と言わずして何と言うの。

本音では誰もが、こんな無駄で無意味なことアホらしくてやってらんねーよなとか、気づいてはいるんです。でも、ケンカや対立で面倒起こしてクビなんてイヤだから、波風立たないよう、一応みんなと同じにしとくんだよね。しょうがないよね。宮仕えはツラいね。

ただ、何が気持ち悪いって、この一連の行動様式は全て、「ホラ私、こうしていつも通りに出社しようと頑張ってるでしょ?」とアピールするための、ジェスチャーだってことです。
日本人は、カタチから入ることにあまり抵抗を感じないこともあるんでしょう。形式を踏襲しつつ、その奥にある本心を「分かってください」は、まさにお家芸なのです。
気象災害時における通勤の“お作法”も、日本の奥ゆかしき〈○○道〉の一つに含めてはいかがでしょうか。

這ってでも来いとか言ったヤツ、出て来いや

いやいや、そう悠長に構えてる場合じゃない。この、見えない部分でこじらせた承認欲求というか、卑屈さに根ざした社畜根性がここまで育った原因は何なのか?
それは考えるまでもなく、台風だろうが大雪だろうが「とにかく来い」と指示する人間こそが、諸悪の根源に決まっています。

タクシー代を支給するでもなく、「何が何でも定時に来い、這ってでも来い」とか、すいません意味分かりません。食い下がったところで、「それが社会人の務めだ」あるいは「つべこべ言うな」系の頓珍漢な根性論を平然と返しよる。何なんですか馬鹿なんですかと。

そのような悪しき伝統を何の疑問もなく受け入れ、脈々と守り受け継ぐ土壌が、この国には確実にあったことも事実でしょう。
その結果、非科学的で封建的な“いいから来い”社会、簡単に言えばブラック企業が生まれたというわけなのさ。

こんな風に、誰も幸せにしない社会風土に嫌気がさしていた人、これからはアナタの時代かも知れません。
あらゆる無駄や矛盾の洗い出し&問い直しが始まった今、社会の健全な発展を阻害しそうな存在は、どのみちジリ貧だからです(強め)。
とりあえず、ワーカーを悩ます台風関連の通勤問題は、〈新しい日常〉を構築するとっかかりとして、最優先で俎上に載せるに十分なテーマであるとだけ、強調しておきます。

Sheila