14. 令和の夏サバイブに欠かせないモノ

あるのに使わない、その理由

若さのテーマから一転、今回はこの時期になると増える高齢者の〈熱中症〉についてです。
今夏はことに35℃を超える異常な高温日が各地で続き、熱中症で救急搬送された人は8/10~16の1週間で1万2,804人(総務省消防庁、速報値)、うち高齢者が6割を占めていました。

この暑さだし、決して他人事と捉えるべからずなのはごもっとも。ですが、とにかくびっくりしたのは、この暑さにも関わらず、屋内での死亡者のうち8割以上が「エアコンを使用していなかった」ケースであることです。
その中でも、エアコンがあるのに使用していない、あるいは使っていたのに故障していたなどと聞くと、時間を戻せないものか、と思ってしまいます。

室温そのものを下げるには、今のところエアコン以外に方法はありません。よって、現代日本の灼熱地獄を、そうした人々がどうやってしのいでいたのか、若年層には理解しがたいのではないでしょうか。
ですがこれ、高齢者と同居されてる方なら多分お分かりでしょう。高齢者は、暑さの知覚が鈍るので、30℃を超えた室内でも長時間平気で過ごしてしまい、自覚症状のないまま倒れてしまうのです。

アンチエイジングはアップデート機能のフォローから?

公的機関やマスコミが、そのへんの注意を力いっぱいアナウンスしているにも関わらず、「身体に悪いから、寝るときはエアコン切っとくの」、「自分は暑さには強いんだ」とホコらしげにインタビューに答えるご老人を今日の報道番組で見るとは、ダブルでショックでした。
情報、伝えるべき人に伝わってないじゃん……ダメじゃん……!

「夜は窓開けて、扇風機回しときゃ大丈夫」って、それ昭和の時代の話ですよ。いやいや昭和だって、真夏はほぼ毎晩、寝苦しかったけどなあ。サザエさんのネタにもあるくらいだし。
そして平成を経て令和の夏は、ハンパないレベルにグレードアップしてる。かつて贅沢品だったエアコンも、今や必需品中の必需品。その事実の書き換えがどうにも進まないのが、高齢者のツラいところなのです。

エアコンアンチ高齢者は、電気代の心配をしてみせる根底に、エアコンなんぞというゼータク品に染まることへの“罪悪感”を持っています。現状認識が正しくないのも十分ヤバいのですが、この時代錯誤な罪悪感を払拭できないうちは、熱中症による救急搬送の出動数はまず減らないでしょう。

笑って済ませられることなら、自由にすればいい。でも、行動によって防げたはずの悲劇がこうも毎年繰り返されるってことは、もっとバッポン的な見直しが急務なんではないかな、と思う次第です。

Sheila