07. ミニマリストさんたちの黄昏

世界は要らないモノであふれてる

今春の自粛期間中に〈○捨離〉に目覚めた人が増えたのは、自然の成り行きでしょうか。
まあ基本、無くても困らないモノだらけだから、8割捨てても案外やってけるという意見にはおおむね納得ですが。

いわゆる〈ミニマリスト〉が登場したときは、そこそこ話題になりました。徹底的にモノを排除するガチ系ミニマリストの部屋にはあるのは、ローテーブルとノートPCくらい。8割どころか9割5分以上をそぎ落とした、不動産サイトの空室情報ページみたいなビジュアルがインパクト大でした。

デジタルネイティブ世代と重なるのか、そうしたミニマリストさんはIT活用のスキルに長けた情報通が多いため、私物は持たずにWebサービスを最大限に利用することで、“高度にムダを排除したミニマルな暮らし”を構築・管理・実践していたわけです。少なくとも去年までは。

言わんこっちゃない、と言われんように

今年に入って、コロナ禍で社会全体が一気に停滞したとたんに詰んでしまったのが、生活の大半をアウトソーシングに頼っていたガチ系ミニマリストさんたちです。
緊急事態宣言発出直後の一時期は、外出の自粛に始まり、飲食店も休業していたから、食料の備蓄がない人はまず食べることに窮した可能性があります。
デリバリーや家事代行サービスも休業や時短営業など、以前のような利用はかなわない状況があったと思われます。

流通やITが滞りなく機能していることが大前提のミニマリスト生活は、非常事態の前にはまことに脆くて危ういのです。家事を外部に丸投げするのは自由ですが、そこは再考する時期かも知れません。
たとえ面倒だろうが、生きるために必要なものごとは、必要だからこそあるわけで。生身の人間が家事を避けて生きられると思うなよ、と。

ミニマリストさんの備蓄嫌いは理解しますが、イザというときの備えが活きるのってこういう時なんですよ。対極に位置する備蓄重視の〈プレッパー〉とかいう人たちも、また行き過ぎが心配になりますけど。
最近は、ミニマリストらしい備蓄スタイルを模索し始める動きも聞かれるので、いいバランスに落ち着かれることを祈ってます。

それでもなお生活臭の無い暮らしにこだわるガチ系ミニマリストさんは、お金持ちよろしくホテル住まいをすればいい。万が一の事態でも、おそらく食べる心配はせずに済みそうですよ。

Sheila

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