03. ミュージアムという名の高き峰々

ジョシ問題で見えた?“ミュージアム・コンプレックス”

コロナ禍では美術館や博物館も、長らく休館の憂き目に遭い、門を閉ざしていました。
当たり前にあるつもりだった楽しみを取り上げられるのは、本当にコタえます。

先の6月頃の話。某大手新聞社と美術館関連団体が企画した「美術館女子」が、批判の業火に見舞われました。
美術館に無縁な層を取り込もうとしたものの、早い話がアイドル撮影会の域を出ず、ジェンダー云々の面倒な論争に発展した挙句、「ゴヒハンを重く受け止め」、スゴスゴ撤退したというアレです。

ジェンダーバランスの歪みについては、美術界どころか日本に限らない問題なので、ここで深追いはいたしません。
それよりも、芸術文化の殿堂だからと言って、美術館に対して過度に委縮したり、過剰に特別視する、一般社会のこじらせたコンプレックスをどうにかするほうが先じゃないですかと。

これまでに、美術の知識や素養を持たないことを恥じる意識が強い人に、よく出会いました。
専門家じゃないんだし詳しくなくてもノープロブレムだと、こちらは懸命になだめつつ、相手の「自分は“そういう場所”にふさわしい人間ではない」的な呪縛に、言い知れぬ闇を感じたものです。もう、どんだけ。
興味が無いのならはっきりそう言ってくれれば済む話なんだが、日本人ってそれも苦手なんだよなあ……ああ出口が見えない……。

豊穣なるアートのフトコロ深くに飛び込め

一方、博物館はだいぶハードルが下がるのか、いきなり幅広い年齢層で賑わっていたりします。コロナ禍以前は、話題性のある博物館の企画展なら長蛇の列は当たり前、入場制限も珍しくないなど大盛況だったものです。あーいかん、つい昔を懐かしんでしまった。
ちなみに絶対当たる企画展は、ミイラ展示のあるエジプト展だそう。あと、恐竜系とかも。

美術館も博物館も、どちらも英語ではmuseumですよー。博物館法では、動物園や水族館も含まれますけど。
絵や彫刻の鑑賞は、単純に好き/嫌いが基準で全く問題ありません。興味を持ったら、自分なりに調べて深めていくとさらに楽しい。
それでも退屈したら、「自分で1点、買うならどれにする?」という鑑賞方法もアリです。

要するにみんなもっと気軽に、美術館に足を運ぼうよ。勝手にハードル上げないで。歩き疲れたらソファもあるし、お茶も飲めるし。ミュージアムショップを見て回るのもおススメです(ビミョーなグッズも多いけど)。

何より、チケットさえ買えば誰でも国宝やら化石やら、世界の芸術作品をじかに見られるなんて、我々は本当に幸せな時代に生きている。だから『フランダースの犬』みたいな話は、どうしても好きになれないんですよね。

Sheila